|
戻る
ホーム 著作
次の本へ
彼の名はケヴィン。でも、収容先の施設ではズー・ボーイ(動物園の檻のなかの子)と呼ばれていた。彼はしゃべらなかった。テーブルの下に隠れ、椅子で柵を作ってまわりを固めた。入所以来4年間、建物から一歩も外に出なかった。水を怖がり、シャワーを浴びようとしなかった。裸になり、着替えをするのを恐れていた。彼は16になろうとしていた。
少年を何とか変えようと、ケヴィンのいた青少年治療センターの職員がトリイを雇った。トリイは彼に本を読んで聞かせ、自分で読んでみるように勧めた。彼が立てこもっている椅子の檻のなかに一緒に潜り込むと、ケヴィンは話をした。それから彼は鉛筆や筆を使って絵を描くようになり、当意即妙の機知に富んでいる自分や、滔々とわき出る激しく残忍な憎悪を義父に対して抱いている自分を明らかにした。
ヘイデンの筆は非常に読みやすい。ケヴィンは恐ろしかったに違いないが、彼女に対してはほとんどおびえることがなかった。つまり、これは恐怖を誘う本ではない。これは、我々みんなが必要とする安心の書である。たとえこの世が破滅しようと、愛がその力を失うことはない。我々は耳を傾けさえすれば、互いに互いを癒すことができるのである。
−クリスティナ・ロブ
|